建築家隈研吾氏の総合アドバイザー就任会見を行いました。

令和5年3月22日東京都青山にある隈研吾建築都市設計事務所に伺い、隈研吾さんに本会の会員となっていただくとともに総合アドバイザーに委嘱させていただきましたが、その後、来県の機会に記者会見を行いたいと思っておりましたところ、5月28日に来県の機会を得て就任記者会見を行いましたので、その概要を報告いたします。

会見では、隈氏は昨年の視察のときの感動と共に、総合アドバイザー就任の経緯をこのように話されていました。
「11月にトロッコ列車に乗って予土線を初体験しまして、もうびっくりしたんですね。こんな素敵な体験があったんだと思いまして。地形に変化があって、宇和島から藪の中をぶわーっと上がって行く、坂の中の藪を列車が突き進む様子が他にはない体験で、坂を上がってくると今度はのどかな景観が広がっていて、それから四万十の渓谷を上から眺めたり、トンネルをくぐったりと変化に富んだ体験でこんな素敵な線路があったんだと本当にある種、衝撃を受けました。それで、これをなんとか守っていきたいなと強く思いました。沿線の北宇和高校の馬術部の活動も、高校生がこんなすごい活動をしているんだなと、景観がすごいだけじゃなくて周りの文化もすごいなと、それが予土線のトータルなパワーなんだなと思いまして、この路線を後世につなげていくことにお役に立ちたいと強く思いました。」

また外国と比較した感想も話されていました。
「世界で色々なところでプロジェクトのために旅をしており、いろんな路線に乗ったんですけれども、そういう中でも予土線はトップレベルだなと思いました。列車、文化を含めて世界遺産になっているところもあるんですけれども、そういうレベルの高い予土線をなんとか存続させて、周りを含めて微力ながら総合プロデュースみたいなことができればなと思って、今回引き受けさせていただきました。」

予土線沿線の自然と里山の美しさとそこにある暮らしを守りながら、人々に伝えていくためにブランド化が重要であるとされ、予土線沿線を訪れるきっかけとなる仕掛けづくりに意欲的です。沿線の魅力を伝えるポスターの制作や沿線の学校と連携したイベント、ゆくゆくは駅舎のデザインもしてみたいと話されていました。また、世界的フィギュアメーカーの海洋堂など予土線沿線と関係の深い企業との連携として、海洋堂展に置くベンチのデザインをできないかと考えているということでした。
「ローカル線ってものすごい長さの建築みたいなもので運営や経営で困っているところって世界中にあるので、そういうところの一つのモデルになるくらいのものができたら。」とも話されていました。

本会の伊達会長は、「これから南予地方の少子高齢化は広域で交流人口を増やしていかないといけないという感覚がある。その中で愛媛と高知の繋がりなど地域の歴史や魅力を隈先生の力をいただきながらもっとたくさんの人に知ってもらえるようになればと思っており、隈さんが参加いただくことは心強い。隈先生のグランドデザインをその指標にしたい。」と述べました。

 

記者会見前に県美術館を視察され、学芸員から説明を受ける隈先生

記者会見前に県美術館を視察され、学芸員から説明を受ける隈先生

 

記者会見の様子

記者会見出席者
左から、上甲JR予土線圏域の明日を考える会副会長・マネージャー、
伊達同会会長、隈研吾先生、新津保隈建築設計事務所企画室長

 

記者会見場の状況

記者会見場の状況

 

JR予土線の魅力や抱負を熱く語られる隈先生

JR予土線の魅力や抱負を熱く語られる隈先生

 

予土線圏域の活性化について語る当会伊達会長

予土線圏域の活性化について語る当会伊達会長

 

記者会見後の記念撮影

記者会見後の記念撮影